試験研究と料理
私どもは化学・工業薬品、試薬(=薬品)を通じて、ユーザー様の試験研究をバックアップいたします。
私どもは、化学・工業薬品、試薬(以下、「薬品」とする)―実験室機器(理科学機器)―実験室設備(研究施設)の三者の販売・製造について、「薬品」1)、2)を核に有機的に取り組んでおり、これらを試験研究機関等に提供するのが主な業務です。
私どもは、実験室設備(研究施設)における試験研究の化学実験に伴う基本操作が、台所設備における料理の基本操作に共通することを注目いたしました3)、4)、5)、6)、7)(表1、図1)。
表1 化学実験に伴う基本操作3)、4)、5)
加熱、冷却、混合・撹拌、秤量・計量、温度測定、溶解、ろ過、抽出、再結晶、蒸留・濃縮、粉砕・砕く・刻む、乾燥真空・減圧、高圧・加圧、洗浄、保存・保管・貯蔵、安全、廃棄、分離・精製
「試験研究」におけますこれら三者につきましては、「料理」におけます食品(食材)―食器・調理器具―台所設備等の関係にそのアナロジーを求めることができます3)、4)(表2)。
表2 試験研究および料理のアナロジーについて3)、4)
試験研究 | ⇔ | 料 理 |
---|---|---|
薬 品 | ⇔ | 食 品(食材) |
酸性・中性・塩基、有機・無機化合物等 | 肉・魚介類・野菜・果実等 | |
実験室機器(理科学機器) | ⇔ | 調理器具・食器 |
試験管、ビーカー、シャーレ、撹拌棒、ピンセット、フラスコ、メスフラスコ、メスシリンダー、テクルバーナー、温度計、分析機器、恒温槽、 恒温恒湿器、冷蔵庫、冷凍庫、乾燥機等 |
皿、茶碗、どんぶり、箸、スプーン、フォーク、ナイフ、包丁、計量カップ、計量スプーン、鍋、釜、フライパン、ガスコンロ、電子レンジ、オーブン、冷蔵庫、冷凍庫、食器乾燥機等 | |
<実験室設備(研究施設) | ⇔ | 台所設備 |
薬品庫、器具棚、実験台、ドラフトチャンバー等 | 食器棚、流し台、換気扇、システムキッチン等 |
料理や食は、食品(食材)、料理技術や調理器具(道具)等によっても影響されるといわれます8)。また、調理器具の使用を決定するのは、食品または食材によるとの考え方もあります。
肉・魚介類・野菜・果実等の食品(食材)を食するには、包丁・鍋・釜・ガスコンロ等の調理器具で加工し、できあがったものを皿・茶碗等の食器類に盛りつけ、調理後の残余のものを冷蔵庫または冷凍庫に保存し、これを再度加熱調理するために電子レンジを使用します。さらには、食器の洗浄には台所洗剤を使用し、その後に食器乾燥機等が利用されます。
試験研究におけます薬品類の使用につきましても、その目的により多様なものがございます。私どもは、料理における食品または食材、および調理器具との関係同様、試験研究における実験室機器(理化学機器)の使用を決定づけるのは、薬品類であるとの立場をとっております。
薬品の使用にあたっては、試験管・ビーカー・フラスコ等のガラス器具、温度計、分析機器、化学反応・分析・合成系の実験装置等が使用されます。サンプルの保存に冷蔵庫または冷凍庫が使用され、またガラス器具等の洗浄後には乾燥機といったこれら実験室機器が使用されます。
料理におきましては食品または食材が主人公であり、調理器具・食器を使用してこそ食生活が実現します。
一方、試験研究におきましても試験研究の開始~終了までのデザインの主役は“薬品”であり、方法論的にサポートするのが“実験室機器”であると、私どもは考えます。
また、試験研究または料理の環境を提供するものが、実験室設備(研究施設)であり、台所設備であります。
以上のとおり、私どもは薬品を通じて、ユーザー様の試験研究をフォローいたします。
参考および引用資料
1)化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和四十八年十月十六日法律第百十七号、最終改正:平成一七年四月二七日法律第三三号)
2)日本試薬協会編集、試薬ガイドブック(改訂第3版)、化学工業日報社(2003)
3)増井 幸夫、谷本 幸子、クッキングに学ぶ化学(ポピュラー・サイエンス 270)、裳華房(2005)
4)斎藤 勝裕、料理の科学 加工・加熱・調味・保存の化学変化、サイエンス・アイ新書(2017)
5)平松 サリー、おもしろい! 料理の科学 (世の中への扉)、講談社(2017)
6)長倉 三郎、井口 洋夫、江沢 洋、岩村 秀、佐藤 文隆、久保 亮五 編集、理化学辞典(第5版)、岩波書店(1998)
7)大木 道則、化学辞典、東京化学同人(1994)
8)“堺の刃物あればこそ 大阪 食の誘惑”、産経新聞(大阪版) 夕刊、2007年6月1日付